事実婚でも社会保険は受けられる?

2020-01-20

最近では、婚姻届を出さず実質的に夫婦として生活するカップルが増えています。このような関係を事実婚(内縁)といいます。

事実婚の妻(夫)は、法律婚の妻(夫)と比べて税金などでは不利な取り扱いを受けることがありますが、社会保険では、一定の要件を満すことで、法律婚の妻(夫)と同様に扶養に入れることができます。

この記事では、事実婚の妻(夫)を社会保険の扶養に入れるための要件などについて解説します。

事実婚と社会保険について

社会保険とは、会社員である場合には健康保険と厚生年金保険のことを指します。

事実婚である場合の社会保険の加入について問題になるのは、会社員である夫(妻)に生計を維持されている妻(夫)が社会保険の扶養に入れるかどうかです。

結論から言えば、事実婚であっても一定の要件を満たす限り、妻(夫)は夫(妻)の健康保険の扶養に入ることができ、国民年金上の「第3号被保険者」になります。結果として、妻(夫)は健康保険料も国民年金保険料も納付する必要がなくなるということです。

ただし、事実婚である場合にはそのことを証明する必要があるため、手続き書類が増えることになります。

事実婚の妻(夫)を社会保険の扶養に入れるための要件

事実婚の妻(夫)を社会保険の扶養に入れるためには、次の要件を満たす必要があります。

妻(夫)が収入要件を満たすこと

まず、法律婚であるか事実婚であるかを問わず、妻(夫)を社会保険の扶養に入れる、つまり、被扶養者にするためには、妻(夫)が社会保険の被保険者である夫(妻)に生計を維持されており、かつ、収入が一定以下でなければなりません。

具体的には次の収入要件を満たす必要があります。

  • 見込み年収が130万円未満(60歳以上または障害者である場合は180万円未満)であること。
  • 同居している場合には、収入が夫(妻)の収入の半分未満であること、別居している場合には、収入が夫(妻)からの仕送り額未満であること。

別居していても構いませんが、事実婚で別居である場合には、そのことを証明することが難しくなり、次で説明する必要書類が増えることになります。

事実婚を証明できる書類を提出すること

法律婚であるか事実婚であるかを問わず、収入を証明する書類(所得証明など)は必要になりますが、事実婚である場合には次の書類が必要になります。

①夫と妻それぞれの戸籍謄(抄)本
②被保険者である夫(妻)の世帯全員の住民票(コピー不可・個人番号の記載がないもの)

法律婚である場合にも、被保険者である夫(妻)の戸籍謄(抄)本や住民票を提出することは必要ですが、事実婚である場合には、夫と妻それぞれの戸籍謄(抄)本と被保険者である夫(妻)の世帯全員の住民票が必要になります。

これは、それぞれの戸籍謄(抄)本により法律上の配偶者がいないことを確認し、被保険者である夫(妻)の世帯全員の住民票により事実婚であることを確認するためです。(住民票で事実婚を証明するためには、このあと説明する住民票である必要があります。)

上記の書類で事実婚を確認できない場合には、自宅の賃貸契約書や売買契約書なども求められることもあります。詳細については、会社経由で年金事務所や健康保険組合に確認してもらいましょう。

事実婚を証明できる住民票とは

事実婚の夫と妻が同居している場合、住民票は次のいずれかになっていることが考えられます。

①どちらかが世帯主で、もう1人が「同居人」になっている。
②どちらかが世帯主で、もう1人が「妻(未届)」または「夫(未届)」になっている。
③同じ住所でありながら、それぞれが世帯主になっている。
④それぞれが別の住所の世帯主あるいは子などとなっている。(事実婚になる前から住民票を異動していない。)

事実婚であることを証明するためには、②の住民票を提出する必要があります。

もし、①や③の住民票になっているのであれば、世帯変更の手続きをすることで、②の住民票に変更できますし、④のようにそもそも住民票を異動していないのであれば、最初から②の住民票にすることができます。

まとめ

事実婚であっても、そのことを証明できれば、生計を維持している妻(夫)を社会保険の扶養に入れることができます。

事実婚であることを円滑に証明するためには、そのことを住民票に記載(「妻(未届)」または「夫(未届)」)しておく必要があります。

これからどちらかを専業主婦(夫)とする事実婚生活を考えられている方は、住民票もしっかり整備しておきましょう。