事実婚での別れ方、財産分与はどうなるの?

2019-10-24

結婚している夫婦ならば、別れる時には離婚届を役所に提出するので、それが婚姻関係の終了を迎える一つの節目として分かりやすいです。

では、事実婚状態ならどうでしょうか?

特定の期間に書類を提出する必要はありません。双方が合意すれば事実婚関係は終了ですが、離婚届と似た役割で離婚協議書や示談書などを書く場合もあります。

事実婚関係でも、別れるときは財産分与の権利が認められているので、今回は適切な別れ方と財産分与について詳しく述べていきます。

別れ方はどうするの?

事実婚の解消には、特に書類の提出は必要なく、お互いが納得すれば関係は終了です。ただし、事実婚は婚姻届を出した夫婦に準じて(同じように)法律では扱われるため、片方が関係の継続を望んでいる場合、一方的な理由での関係解消は難しく、調停や裁判になるケースもあります。

反対に不貞の事実や、暴力やモラハラなどがある場合は、これ以上の関係継続が難しいと判断され、関係の終了および慰謝料の請求ができます。

どのような別れ方にしろ、事実婚の期間中に二人で築いた共有財産は原則として財産分与の対象になります。

そして、財産分与や諸々の話し合いが終了した後は、後々のもめ事にならないために、離婚の条件を記載した離婚協議書や念書、示談書などを作成して、証拠として残しておきましょう。

事実婚での財産分与

財産分与は共有財産を二人で平等に1/2ずつに分けるのが基本ルールです。これは共働きでも、専業主婦状態であっても半分ずつで変わりません。

ただし、F1レーサーや医師など、特別なスキルを要する職種で、それにより高収入を得ているのならば、割合が6:4や7:3などに変わる場合があります。

また、夫側がヒモ状態で、ロクに生活費も入れず、家事などの家庭への貢献も極端に薄いような場合、その分の婚姻費用等が考慮され夫側の財産分与の割合が減る可能性もあります。

財産分与の対象になる共有財産って何?

共有財産は二人で事実婚生活をしていた期間中に築いた財産です。事実婚を始める前から持っていた財産や、それによって生まれた利益等は含まれません。

以下は、共有財産として代表的なものです。

・現金や銀行預金

・家電や家具

・不動産

・自動車

・退職金

・負債

有価証券など細かなものも含めると他にもたくさんありますが、一般的に資産と呼ばれる物が対象だと考えれば大丈夫でしょう。

負債であるローンや借金も共有財産になるので注意が必要です。これは生活上やむを得ない借金や、車や家の購入のローンが代表例になります。しかし、ギャンブルや過度な遊興で散財してできた負債はその本人が負うべきであり、共有財産には含まれません。

慰謝料や養育費について

財産分与とは別に、パートナーの不貞行為やDVが原因で事実婚関係が終了した場合、慰謝料を請求できます。

他にも、両者間に子供がいて、父親が認知していれば、基本的には子供が成人するまでの養育費を支払う義務があるので、養育費も請求できます。

お金の事でモメたなら

財産分与や慰謝料、養育費など、お金が絡むと話し合いが難航する場合もあります。お互いが譲らず解決が難しいなら、弁護士への依頼や、裁判所の財産分与請求調停を利用してもいいでしょう。離婚の時から2年間は財産分与請求調停を裁判所に申立てることができます。

まとめ

事実婚は法律に縛られない二人の婚姻の形なので、双方の合意があればいつでも事実婚関係を終了することができます。別れる際には、細かな条件などを記載した離婚協議書等を作成しておけば、後にモメ事になった場合に役立ちます。

事実婚が始まる前から持っている財産や個人の持ち物は、そのまま元の持ち主が所有し続け、事実婚関係中に築いた共有財産は半分ずつにするのが基本ルールです。

それでも、別れる際には財産分与をどうするかで、共有財産の所有権や分配率を巡りモメる場合もあります。話し合いでどうしても解決できない場合は、弁護士や調停を利用すると良いでしょう。