事実婚のメリットとデメリットは何?事実婚の手続きは?

2019-10-26

男女間の関係性のあり方も多様化した現代では、結婚届を出さずに事実婚や内縁状態のカップルも珍しくなくなってきました。欧米諸国では、事実婚カップルも多く、お互いを尊重した関係を上手く保っているようです。

しかし、海外諸国と日本では、文化や法律も違いますので同一線上で考える訳にもいきません。今後は日本でも、夫婦別姓やジェンダーフリー等への理解も深まり、もっともっと事実婚は増えて行くでしょう。今回は日本における事実婚のメリットとデメリットを詳しく述べていきます。

事実婚のメリット

苗字を変える必要がない

婚姻届を役所に提出して入籍すると、嫁は夫(もしくは夫は嫁)の戸籍に入り同じ苗字なります。旧姓から新しい苗字に変わると、免許証や銀行口座など、たくさんの各種機関に変更の届け出が必要になります。他にも仕事関係や顧客の人たちに通知して置かないと、後々伝言ミスなどが起こる恐れがあります。

そして、もし離婚して復氏する場合、せっかく手続きしたにも関わらず、もう一度、旧姓に戻す手間が発生します。

・夫婦別姓の方が何かと便利

・煩雑な手間が面倒

・幼いころから慣れ親しんだ苗字に愛着がある

そんな人には、事実婚なら、お互いの苗字のままなのがメリットになります。

慰謝料を請求できる

単なるカップルと違い、事実婚なら、パートナーの不貞行為(浮気)やDVによって関係が破綻した場合は、その相手に慰謝料を請求できます。他にも二人で築いた共有財産がある場合は、財産分与の請求もできます。

ただし、そのためには、事実婚状態であったことを証明する必要があります。これは口頭での約束だけならば立証は非常に難しいので、住民票に同一住所で夫(未届)妻(未届)と記載しておく、または「事実婚の契約書」を公正証書で作成しておけば、後の立証が容易になります。

それでも、モメにモメてどうにもならなくなったら、弁護士に相談するか、家庭裁判所の「内縁関係調整調停」を利用しても良いでしょう。

事実婚のデメリット

配偶者控除&扶養控除の対象外

結婚して婚姻関係であれば、税金を計算する時に配偶者控除や扶養控除を受けられます。しかし、事実婚ではこの税制優遇の対象外になり、控除は認められません。

これに対して、社会保険では事実婚の関係を証明できれば、扶養に入ることができます。

子供の親権を得るには認知が必要

事実婚関係の二人の間にできた子供は、婚外子(非嫡出子)として戸籍上は扱われ、母親の戸籍に入ります。父親は役所に行って、母親籍のこの子は実子であると認知して、届け出をする必要があります。そうしなければ生物学上実の父子であっても法律上は他人と変わりません。

パートナーに遺産相続権がない

事実婚のパートナーは、原則として遺産の相続権はありません。このため遺産を相続するには遺言書が必要になります。二人の間にできた子供も認知しなければ、父の遺産を相続することはできません。

婚姻届を出している夫婦は、パートナーが死亡して遺産を相続する際には、配偶者の軽減措置によって、相続税が軽減されますが、事実婚のパートナーでは1円たりとも軽減されません。

生命保険の受取人には簡単にはなれない

事実婚状態では生命保険の受取人になるには、現在進行形で事実婚状態にある事を証明しなければならず、なかなか認められにくいです。

賛否両論

別れるのが簡単

事実婚は関係の解消が非常に簡単で、役所に離婚届を出す必要もなく、両者が合意すればそれで終了です。特別な手続きは一切いりません。それ故に、普通の婚姻関係に比べて、お互いに別れやすいのがメリットでもあり、デメリットでもあるのが、賛否両論で意見が分かれるところです。

まとめ

事実婚は、あえて自分たちの意思で入籍をしない夫婦関係の形を選んだのであり、二人の関係を尊重した婚姻関係と言えるでしょう。

しかし、遺産相続や配偶者控除などの法律・税金の部分は、法律婚と同じ扱いになっているとは言えず、デメリットな部分もあります。

法的な優遇措置を少しでも受けるためには、住民票に同一住所で夫(未届)妻(未届)と記載するか、「事実婚の契約書」を公正証書で発行しておくと良いでしょう。メリットとデメリットを十分に理解して、二人の関係をよりよいものにするのに役立ていきましょう。