
事実婚をしたらやっておきたい手続き5つ
2019-12-31
事実婚とは、婚姻届を提出することなく結婚生活を送るものです。つまり、2人の婚姻意思があれは特別な手続きは必要ありません。
とはいえ、結婚の形が多様化する中で、事実婚も法律婚に準じた扱いを受けられるようになりました。その中で、事実婚をした際にしておきたい手続きも増えてきています。それらの手続きをすることで、事実婚のデメリットを減らしたり、法律婚と同等のメリットを得たりすることが可能です。
事実婚をしたらやっておきたい手続きについて、代表的なものをご紹介します。
1.住民票の届け出
事実婚の手続きとして最初にしたいのが、住民票の届け出です。一緒に暮らしているとしても、通常の方法で住民異動届を提出しただけでは、2人の続柄は「同居人」となります。2人がそれぞれ仕事を持っている場合は、別の世帯として別々に住民登録がされていることも多いでしょう。
事実婚をしたら、それを住民票に記載する手続きをします。
世帯変更届または住民異動届を提出して、2人の世帯を合併します。2人のどちらかを世帯主とするので、住民票の続柄の記載は、「夫(世帯主)」と「妻(未届)」もしくは「妻(世帯主)」「夫(未届)」となります。
この住民票の表記により、夫婦として行政サービスを受けたり、他の手続きがスムーズに行えるようになります。
2.パートナーシップ制度の利用
パートナーシップ制度は、もともとは法律婚ができない同性婚のカップルを対象にしたものです。2015年に渋谷区・世田谷区で導入されて以来、徐々に全国に広まっています。
その中で、2019年にパートナーシップ制度を導入した千葉県千葉市では、異性間の事実婚も対象としています。
千葉市において、パートナーシップの関係にあることを宣誓したカップルには、「パートナーシップ宣誓証明書」と「パートナーシップ宣誓証明カード」が交付されます。これらを提示することで、不動産契約や医療行為への同意など、これまでは結婚した夫婦でなければ手続きがしにくかったことがスムーズになります。
2019年12月現在では、千葉市に住まなければ利用できませんが、今後広がるものと思われます。
3.事実婚契約書の作成
事実婚契約書というと夫婦2人の間だけでの取り決めのように見えますが、実際にはそれ以上の意味を持ちます。住民票の続柄と同じく、事実婚関係にあることを対外的に説明・証明するのに有効です。
事実婚をしていることを証明するために、事実婚契約書には以下の4点を最低限記載します。
・2人に婚姻意思があること
・同居していること
・同一の生計を営んでいること
・いつから事実婚関係になったか
法律婚と異なり、事実婚には婚姻届がないため、いつから事実婚関係にあるかを証明する記録が残りません。それを明確にするために、事実婚契約書には事実婚関係となった日を記載しておきます。
もちろん、上記以外の項目も記載可能です。不貞行為があった場合の慰謝料について、事実婚を解消する場合の財産の扱いについてなどが代表的です。
また、契約書は2人の間だけでとりかわすこともできますが、公正証書にすることで、より公的な形となり証明力も高めることができます。
4.扶養家族の届け出
ここから
事実婚をした2人のどちらかの収入が年間130万円未満で、世帯主が会社員や公務員であれば、条件を満たすので、被扶養者(異動)届を提出します。法律婚をした場合と同様の手続きですが、事実婚の場合は住民票の続柄の記載が婚姻関係の証明になりますので、そちらの手続きを先に行う必要があります。
この手続きによって、被扶養者は国民年金の第3号被保険者や、健康保険の被扶養者となることができます。年金や保険証は大切ですので、条件を満たす場合には速やかに行いましょう。
また、会社によっては事実婚でも家族手当が支給されることもあります。扶養家族の手続きとともに確認した方がいいでしょう。
5.各種契約の見直し
事実婚をしたら、2人の契約しているサービスなどを一通り見直しましょう。配偶者あるいは家族ができたことで条件が変化したり、事実婚の相手について追記などをしたほうがいい場合があります。
代表的なのは以下のような契約です。
生命保険契約
特に、保険金の受取人の設定を確認します。事実婚の相手に変更するなら手続きを行います。
住宅ローン契約
事実婚をした2人ともが働いている場合には、収入や信用が上がり、ローンの条件や金利が変わる場合があります。また、購入する不動産の名義を2人にする場合にも手続きが必要です。
賃貸住宅契約
不動産の購入と同じく、賃貸している場合にも契約書は確認しましょう。賃貸人が1人だけになっている場合には、2人の名前を記載しておいた方が無難です。管理会社とのやり取りや補修などの依頼が、契約書上の賃貸人にしかできない場合があるためです。
携帯電話契約など
携帯電話の家族割、クレジットカードの家族カードなど、2人がバラバラに契約しているよりもお得になるものが少なくありません。
事実婚の手続きは2段階
法律婚では、婚姻届と戸籍が結婚を証明するものになります。事実婚では、住民票や事実婚契約書がそれにあたり、2人の関係を証明するものとなります。まず、第1段階としてこの手続きを行います
第2段階の手続きとして、扶養家族の設定や、各種契約の内容の見直しを行います。こちらは法律婚とまったく同じサービスは受けられない場合もありますので、関係機関それぞれへ確認・相談する必要があります。
事実婚でも法律婚と同じように扱われることが増えてきました。手続きをせずにメリットを享受できなかった、ということがないようしっかり確認しましょう。