クーリング・オフのできる/できない 6個の例

はじめに

クーリング・オフ制度をご存知の方は多いと思いますが、どのような場合にクーリング・オフができて、どのような場合にできないか、という点はよくわからないですよね。
そこで今回は、クーリング・オフができる場合とできない場合とを例を挙げて解説していきたいと思います。

1 クーリング・オフとは?

「クーリング・オフ」は、一定の場合に、無条件でいったん成立した契約を解除できる制度です。

わたしたちは、物を買う契約やサービスを受ける契約を日常的に交わしますが、中には、つい相手の口車に乗って契約してしまった、よく理解していないまま契約してしまった、なんてこともあります。

このような場合に、消費者に冷静に考える期間を与えて、契約を維持するか解除するかを消費者が決めることができる制度がクーリング・オフです。

2 クーリング・オフのできる例

クーリング・オフのできる例としては、たとえば、以下の3つが挙げられます。

(1)訪問販売

「訪問販売」とは、消費者の自宅に訪問し、そこで商品などを販売することをいいます。一般的に、訪問販売は突然自宅に訪問され、冷静に考えることができないまま、契約を交わしてしまう可能性があります。そのため、契約書を交わした日から8日間が経過するまでは、クーリング・オフが可能です。

(2)特定継続的役務提供

「特定継続的役務提供」とは、法律で定められている役務(サービス)を提供することをいいます。

たとえば、エステや語学教室などが特定継続的役務提供にあたります。これらの役務は、継続的に提供されることが予定されているため、その対価は比較的高額に上ります。

そのため、冷静さを欠いた状態などで契約を交わしてしまうと、消費者にとっては、大変な損失です。

そのため、訪問販売と同様に、契約書を交わした日から8日間が経過するまでは、クーリング・オフが可能です。

(3)マルチ商法

「マルチ商法」とは、既存の会員が新しく会員を勧誘し、その会員がさらに別の会員を勧誘するという方法により、ピラミッドのような組織を形成していく商法をいいます。マルチ商法では、新しい会員を紹介すると、その紹介者に紹介料などが支払われることが一般的であるため、紹介料欲しさに不当な手段を使って勧誘する可能性があります。

そのため、マルチ商法によって契約を交わした場合は、これまで見てきた2つの例とは異なり、契約書を交わした日から20日間が経過するまでは、クーリング・オフが可能です。

3 クーリング・オフのできない例

クーリング・オフのできない例としては、たとえば、以下の2つが挙げられます。

(1)店舗に出向いて契約した場合

店舗に出向いて契約した場合、一般的には、商品を買いたいという意思をもって店舗に出向いていると考えられます。

そのため、冷静さを欠いた状態で契約を交わしたとはいえないため、クーリング・オフはできません。

もっとも、先で説明した「特定継続的役務提供」にあたる契約は除かれます。

(2)通信販売

通信販売は、商品を買いたいという思いが先行して、販売サイトなどで購入することがほとんどです。

そのため、実質においては、店舗に出向いて契約した場合と同様であるため、クーリング・オフはできません。

(3)消耗品を使用した場合

たとえば、健康食品や化粧品などを買い受ける契約を交わした場合に、その契約をクーリング・オフするためには、その商品を使っていないことが条件となります。

そのため、これらの商品を使ってしまえば、その後にクーリング・オフすることはできません。

4 まとめ

クーリング・オフ制度は、契約全般に適用されるわけではありません。

そのため、クーリング・オフを検討する際には、まずは、自分の交わした契約がクーリング・オフできるかどうかを確認する必要があります。