学習塾はクーリングオフの対象?
クーリングオフはすべての契約に有効というわけではありません。クーリングオフの対象となる取引の種類などによって個別の法律で規定されています。そのため、まずは学習塾がクーリングオフの制度に該当するものがあるかどうかが問題となります。
学習塾の場合、特定商取引に関する法律第41条に定義されている、「特定継続的役務提供」に該当するものであればクーリングオフできる可能性があります。
なお、特定継続的役務提供は、学習塾以外にも、エステティック、美容医療、家庭教師、パソコン教室、結婚相手紹介サービスなども該当します。これらは、長期間継続的にサービスの提供を受けるという性質があります。
そのため、まずはその学習塾が特定継続的役務提供になるかという点を確認する必要があります。
ポイント!
学習塾でクーリングオフの対象となるものは「特定継続的役務提供」に当たるものです
学習塾で特定継続的役務提供に該当する場合とは
特定継続的役務提供については、特定商取引に関する法律施行令でその類型が示されていますが、以下のものが学習塾に当たるものです。
(特定商取引に関する法律施行令より抜粋)
これによると、契約金額が5万円超という要件が一番分かりやすいのではないかと思います。また、授業料だけではなく、テキスト代なども通常費用に含まれます。
内容については、幼稚園生、浪人生のみ、大学生を対象とした塾が対象とはなりません。
問題となりそうなのは契約期間です。2か月を超える契約となるため、月謝制を取っている塾の場合には、月単位の契約と考えられるため、原則としてこの対象とはなりませんが、大量のテキストなどの関連商品の販売や解約事由が制限されている場合など、実質的に2ヶ月を超える拘束があると考えられる場合は対象となることもあります。
ポイント!
契約期間、金額、内容から判断できます
クーリングオフの条件に当てはまらない場合には
ここまで見たように、学習塾は月謝制の場合も多く、クーリングオフの対象外となるものも相当多いのではないかと考えられます。
一方、塾独自の契約解除に関する規程を自主的に定めているケースも多くあります。
そのため、まずは契約時にその説明を受けていないか、契約書にその記載がないかなどを確認すると良いでしょう。
なお、学習塾ではあまり想定できるケースではありませんが、訪問販売などの勧誘によって契約したものは、特定継続的役務提供に当たるのかによらずクーリングオフの対象となります。
ポイント!
クーリングオフ対象外の塾の場合にも契約内容を確認しましょう
クーリングオフの期間を過ぎてしまった場合には
特定継続的役務提供に当てはまる学習塾の場合でも、クーリングオフの期間である8日間を過ぎてしまってから何とかできないかと考える方もいるのではないかと思います。
そのような場合には、中途解約を検討することになります。
特定商取引法では中途解約制度についての規定もあり、一定の金額を負担すれば解約できる方法もあります。
ポイント!
8日間を過ぎてしまったら中途解約制度を検討しましょう
学習塾のクーリングオフ・中途解約の方法は
クーリングオフの場合には、必ず書面でクーリングオフをする旨の通知する必要があります。
一方、中途解約の場合には必ずしも書面による必要があるとはされていません。しかしながら、記録などにも残らないため、後から「言った」「言わない」の問題とならないよう、口頭で伝えたとしても、後から書面でも意思表示をする方が良いでしょう。
また、クーリングオフや中途解約に応じてもらえない、また、手続きの方法や対象になるかなど、疑問に思った場合には消費生活センターや国民生活センターなどの専門機関に相談してみましょう。
ポイント!
クーリングオフは必ず書面で、中途解約もできるだけ書面で通知しましょう