
原戸籍とは何?必要なケースと取得方法も解説
2020-03-02
本記事では、戸籍に関する知識として「原戸籍」(げんこせき・はらこせき)について説明します。
戸籍は日本国籍を有していることを証明してくれる公的な文書として、市役所・区役所に行けば入手することができます。ただ、この戸籍は法律改正によって何度か作り直されており、作り直される前の戸籍を原戸籍と呼びます。
原戸籍が普段の生活で必要となることはまれですが、相続などの重要な法務手続の際には必要となってきます。
本記事で原戸籍の意味や、必要となるケース、また、具体的な取得方法などを知っていただければ幸いです。
原戸籍とは
原戸籍とは、簡単にいえば、法律改正前に作られた古い戸籍のことです。
戸籍は戸籍法という法律に基づいて作られています。この戸籍法は時代の移り変わりによってその内容が変化していきました。特に太平洋戦争の敗戦によって日本の価値観が大転換されたときには、戸籍法はとても大きな影響を受けました、つまり、戦前のように家単位で戸籍を作るのではなく、個人単位に着目して、「夫婦と未婚の子」を単位に戸籍を作るということにされました。
そして、戸籍を新しく作り直すとなると、これまであった戸籍は役所の戸籍簿から外され、過去の資料として別に保管されることとなります。この古い戸籍のことを原戸籍といいます。
つまり、戸籍法が改正され新しい戸籍が作られることに伴って、古い戸籍となったものを原戸籍といいます。
原戸籍が必要となるケース
相続手続の場合
このような古い法律の下で作られた戸籍が必要となるのは、まず、相続手続を進めるときです。
相続手続に際しては被相続人(故人)が生れてから死亡するまでのすべての戸籍が必要となります。そのため、例えば、故人の出生の時期が戦前であったという場合には、故人の出生の記録は原戸籍に書かれていることになるので、原戸籍を取得する必要があります。むしろ、相続手続においては、原戸籍が不要というケースの方がまだ数少ないのが現状で、多くの場合に原戸籍まで収集することが必要となります。
家族関係を調べる場合
原戸籍を見ることで家族関係について詳しく知ることが可能なケースがあります。
というのは、原戸籍は「家」単位で作られていますので、家族に関する事項が詳しく書かれています。
例えばですが、婚姻関係のない男女に生まれた子がいるかどうか(俗にいえば愛人との間の子がいるかどうか)を原戸籍を見ることでわかることがあります。
実は、現在の戸籍はあくまでも現在の夫婦と未婚の子という単位でしか記載されていないことから家族関係を調べるためにはやや不十分な面があります。
現在の戸籍はプライバシーを守るという点からはとても良い面がある反面、原戸籍までさかのぼらなければ真実の家族関係がわからないことがあるという点で、「現在戸籍だけで真実と信じるわけにはいかない」というデメリットがあります。
家族関係の調査の必要がある場合には原戸籍がとても役立ちます。
原戸籍の取得方法
原戸籍を取得するためには、本籍がある市区町村役場で手続きをします。なお、手続きは郵送でも可能です。
窓口(郵送の場合は電話での事前問い合わせが望ましいです)で「原戸籍が欲しいのですが」と申し出れば、ご本人ならば問題なく取得できます。ご本人以外であれば、配偶者と直系血族(父母、子など)が身分関係を証明する戸籍を添付して請求できます。また、法律上、正式な依頼があれば、弁護士、司法書士、行政書士等は職務上請求書という冊子型の書類により職権で取得することもできます。
手数料は750円(令和2年2月1日現在)です。
まとめ
原戸籍は、相続手続の際には事実上必須になる書類です。また、家族関係を調べるうえでも、有益な資料となります。戸籍については原戸籍以外にも除籍謄本、戸籍の附票など様々な種類、書類があり、必要な場面も様々です。緊急の時には弁護士や司法書士等の専門家に相談することが必要ですが、戸籍について調べたり、学ばれてみることも有益なことと思われます。