相続の対象となる財産にはどんなものがあるの?

2019-11-29

大切なご家族がお亡くなりになって、ご葬儀をつつがなく済まされた後、各種の相続手続きが必要です。

相続では、場合によっては登記申請や相続税の支払いなが必要となることもありますので、手続きは専門家(司法書士や税理士など)へ相談されるなどしながら、しっかりとすすめていく必要があります。

この記事では、相続の対象となる財産について、特に注意していただきたい点を中心に簡潔にまとめています。相続財産の把握のため、ご参考にしていただければ幸いです。

相続の対象となる財産って?

まず、相続の対象となる財産という言葉の意味ですが、これは基本的には「遺産」をイメージしていただければ良いでしょう。

テレビドラマなどで急に莫大な遺産を相続したなどのシーンがありますが、相続財産の基本的なイメージは、このようなドラマのワンシーンのイメージです(ただし、後述の「注意!借金も相続する!」にはご注意ください)。

例えば、土地、車、預金、株式。こういった故人がお持ちであった財産のすべてを相続人が承継する(受け継ぐ)ことになります。

このことについて、民法の第896条で「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」と定めています。なお、条文の「ただし~」以下の部分は、例えば年金受給権など性質的に相続できないものは除くという程度の意味です。相続の対象財産を考えるにあたってはそれほど問題とはならないので、あまり深く考えられなくとも大丈夫です。

このように、相続の対象財産は原則として故人のすべての財産ということになります。

相続手続きでは、故人のすべての財産を対象として相続人の方々で共有したり、遺産分割によって財産を相続人各個人に分配することとなります。

注意!借金も相続する!

相続財産の対象において、ご注意いただきたい点の一つが、故人が借金、負債を抱えておられた場合には、その借金、負債も相続してしまうという点です。

民法第896条には権利だけでなく「義務」も承継すると書かれています。そのため、故人に借金、負債などがあった場合には、相続人の方が受け継ぐこととなります。

特にご注意いただきたいケースとしては、故人がご商売をされていたような場合です。商売では売掛金や買掛金といった金銭の債権債務が発生しますから、ご家族がまったく知らないうちに取引上の債務が発生していたということもあります。

また、場合によっては、故人がご家族に秘密で金融機関から借り入れしていたというケースもありえます。

このようにマイナスの財産も相続によって承継してしまいますから、この点は相続財産を検討される場合には特に気を付けていただきたい点となります。

負債について気になる場合には、まず、故人宛ての郵便物は全て目を通されることが第一です。故人宛てに請求書や督促状などが届いた場合には、何らかの負債がある可能性があります。

また、相続の前に、可能な限り早く司法書士や税理士等の専門家へ相続手続きの相談をされることも重要です。相続手続きにおいて、専門家は必ず相続財産の調査を行いますので、調査の過程でマイナスの財産が判明します。

そして相続財産を足し引きして、プラスの財産よりマイナスの財産が多い場合には、家庭裁判所で相続放棄という手続きをしなければ相続により負債を抱えてしまうことになります。なお、相続放棄ができる期間には期限がありますので手続きは早めにしなければなりません。

相続財産の対象として、負債も相続財産の対象となるという点はぜひ覚えておいていただきたい点です。

まとめ

相続財産の対象についての知識をまとめますと、以下のようになります。

1 相続財産の対象は故人がお持ちになっていたすべての財産となります。
2 すべての財産には、負の財産、つまり、借金、負債等も含まれます。この点は特に注意です。
3 相続財産の調査や手続については、早めに司法書士や税理士などの専門家に相談することが効果的。特に、相続放棄の場合には、期間制限があるので早めに手続きを取る必要があります。

相続財産には意外なものが含まれていることも少なくありません。故人のお葬式が終わりましたら、どうぞ早めに相続財産の調査、相続手続きを開始されてください。