遺族年金って何? 遺族基礎年金、遺族厚生年金を徹底解説

2019-12-17

遺族年金とは、国民年金もしくは厚生年金の被保険者が亡くなった際に、遺族に支給される日本の公的年金のことで、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。

生計を維持していた人が亡くなった場合など、遺族が安心して暮らしていけるようにするため運営されている制度ですが、内容についてあまりよく知らないという方も多いと思います。

このページでは、遺族年金の概要を詳しく解説していきます。

また、遺族基礎年金の支給額は自分でも計算することができますので、世帯主などが亡くなった後の備えのためにも、ぜひ参考にしてみてください。

遺族年金が支給される要件

遺族年金は一定の条件の下で支給されます。
まずは、亡くなった人の要件について以下の表にまとめます。
遺族基礎年金、遺族厚生年金はそれぞれ、いずれかに該当する場合に支給されます。

遺族基礎年金

遺族厚生年金

(1)国民年金の被保険者が亡くなった場合

(1)厚生年金の被保険者が亡くなった場合

(2)国民年金被保険者で、日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の人が亡くなった場合

(2)厚生年金加入中の傷病がもとで、初診日から5年以内に亡くなった場合

(3)受給資格期間が25年以上ある人が亡くなった場合

(3)障害等級1級または2級に該当する障害厚生年金の受給者が亡くなった場合

(4)受給資格期間が25年以上ある人が亡くなった場合

遺族基礎年金(1)、(2)に該当する場合、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
・加入期間のうち3分の1以上保険料の滞納がないこと
・直近の1年間に保険料の滞納がないこと(令和8(2026)年4月前の死亡の場合)

遺族厚生年金(1)、(2)に該当する場合は、次の要件を満たす必要があります。
・死亡日前に国民年金の保険料を納めていなければならない期間があるときは、死亡した人が遺族基礎年金と同じ一定の保険料を納付していること

遺族基礎年金支給の対象者

次に、遺族基礎年金を受給できる遺族の要件について解説します。

遺族基礎年金を受給できるのは、亡くなった人によって、以下の条件のとおり、生計を維持されていた一定の親族です。

生計を維持されていたとは、遺族の前年の収入が850万円未満または所得が655万5千円未満であったこと、さらに、同居していたこと、別居でも仕送りされていたことや健康保険の扶養親族であったことで認められます。

そして、受給の対象となるのは、「子のある配偶者」または「子」です。
※ここでいう「子」とは、18歳になる年度の3月31日を経過していない子、または20歳未満で1級、2級の障害がある子をいいます。

ポイント!
受給者には、生計維持要件と年齢要件があります。
対象者がこれらの要件に該当しなくなれば、年金給付は終了となります。

遺族厚生年金支給の対象者

遺族厚生年金についても、受給者の要件が定められています。
生計維持要件は、遺族基礎年金と同様です。
対象者となる範囲が異なりますので、以下に解説します。

遺族厚生年金の支給対象者は以下の1~4の該当者で、優先順位もこのとおりとなります。

1.配偶者または子
2.父母
3.孫
4.祖父母

「子」の定義については遺族基礎年金のときと同様です。

ポイント!
遺族基礎年金は「子のいない配偶者」は受け取れませんが、遺族厚生年金では「子のいない配偶者」でも支給対象となります。

遺族基礎年金額の算出方法

(受給者が、子のいる配偶者の場合)

遺族基礎年金額=780,100円+子の人数に応じた加算額

子の人数

子の人数に応じた加算額

遺族基礎年金額合計

1人

224,500円

1,004,600円

2人

449,000円

1,229,100円

3人

523,800円

1,303,900円

 

(受給者が、子の場合)

遺族基礎年金額=780,100+子の人数に応じた加算額

子の人数

子の人数に応じた加算額

遺族基礎年金額合計

1人

780,100円

2人

224,500円

1,004,600円

3人

299,300円

1,079,400円

ポイント!
子3人目以降は加算額が低くなるため、子の人数が多くなるにつれ、一人あたりの受給額は少なくなります。
遺族厚生年金額の算出方法については、遺族基礎年金より少しややこしくなっています。
日本年金機構ホームページで確認、または年金事務所にて相談してみましょう。