遺族年金をもらえるケースともらえないケース

2019-12-23

遺族年金は、一家を養っていた働き手が亡くなったときに、生活の大きな支えとなるものです。遺族年金についての詳細は、「遺族年金って何?遺族基礎年金と遺族厚生年金を徹底解説」で説明していますので、そちらに譲るとして、この遺族年金は、場合によって受給できないことがあります。

 

そこで今回は、「遺族年金をもらえるケース」と「遺族年金をともらえないケース」に迫ります。

 

遺族年金をもらえるケース

前提として、遺族年金を受給できる遺族は、亡くなった人の死亡当時、その人によって生計を維持されていたことが必要です。これをふまえたうえで、遺族年金をもらえるケースを見ていきましょう。

 

国民年金の加入者が亡くなった場合

国民年金に加入している人が亡くなったとき、その亡くなった人の、子がいる配偶者または子に、遺族基礎年金が支給されます。

 

子とは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある人、または、障害等級が1級、2級の状態にある20歳未満の人のどちらかで、未婚の人を指します。

 

厚生年金の加入者が亡くなった場合

厚生年金に加入している人が亡くなったとき、子がいる配偶者と子には、遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されます。

 

子がいない妻、55歳以上の夫(60歳から支給)、55歳以上の父母(60歳から支給)、孫、55歳以上の祖父母(60歳から支給)には、遺族基礎年金は支給されず、遺族厚生年金のみが支給されます。

 

各年金の受給権者の順位は、以下の通りです。先順位の者が年金を受け取ると、次順位の者は年金を受けられません。

 

①配偶者、子
②父母
③孫
④祖父母

 

ポイント!
子がいない30歳未満の妻が遺族となった場合、遺族厚生年金を受給できるのは5年間だけです。
30歳以上の妻は、後述する失権事由がない限り、死亡するまで遺族厚生年金を受給できます。

遺族年金をもらえないケース

遺族基礎年金がもらえないケース

下記の場合、配偶者または子は、遺族基礎年金を受け取る権利がなくなります。これを失権といいます。

 

⑴死亡したとき

⑵結婚(再婚)したとき

⑶直系血族または直系姻族以外の者の養子になったとき

⑷遺族基礎年金の対象となる子がいなくなったとき



⑴死亡したとき 

⑵結婚したとき

⑶直系血族または直系姻族以外の者の養子になったとき

⑷離縁により、亡くなった人の子でなくなったとき

⑸18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき

⑹障害のある子が20歳に達したとき

⑺障害のある子が20歳になるまでに、障害の状態でなくなったとき

 

下記の場合、配偶者、子または孫、父母または祖父母は、遺族基礎年金を受け取る権利がなくなります。

 

⑴死亡したとき

⑵結婚(再婚)したとき

⑶直系血族または直系姻族以外の者の養子になったとき

⑷離縁により、亡くなった人との親族関係が終了したとき


⑴死亡したとき 

⑵結婚したとき

⑶直系血族または直系姻族以外の者の養子になったとき

⑷離縁により、亡くなった人との親族関係が終了したとき

⑸18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき

⑹障害のある子または孫が20歳に達したとき

⑺障害のある子または孫が20歳になるまでに、障害の状態でなくなったとき

⑴死亡したとき 

⑵結婚したとき

⑶直系血族または直系姻族以外の者の養子になったとき

⑷離縁により、亡くなった人との親族関係が終了したとき

⑸亡くなった人の死亡時に胎児だった子が生まれたとき

 

ポイント!
妻(夫)に子がいなければ、夫(妻)が亡くなっても、遺族基礎年金をもらえません。
年金に関する相談は、ねんきんダイヤルに問い合わせるか、日本年金機構ホームページでも詳細を確認できます。

 

遺族年金が受給できない時は「寡婦年金」「死亡一時金」

このほか、一定の要件を満たした夫が亡くなったとき、夫との婚姻関係が10年以上継続し、子のない妻には、60歳から65歳未満までの5年間、寡婦年金が支給されます。また、死亡一時金が、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の遺族に、記載の順番で支給されます。

 

寡婦年金と死亡一時金の両方の受給資格がある場合は、どちらか一方を選ぶことになります。

 

寡婦年金もしくは死亡一時金が支給されるのは、いずれも、亡くなった人が、自営業などの国民年金加入者第1号被保険者の場合です。

 

ポイント!
寡婦年金は、年金として毎年受け取ることができますが、死亡一時金は、年金ではなく、あくまでも一時金ですので、受け取りも1回きりで終了します。
死亡一時金については、同順位の遺族が2人以上いる場合、そのうちの1人が請求をし、その1人に死亡一時金を支給することにより、全員に支払われたことになります。