遺族基礎年金を受給できない場合には「死亡一時金」の確認を

2019-12-27

国民年金しか加入していない第1号被保険者(自営業者など)が亡くなったとき、その配偶者である妻は、子(18歳になった年度の3月31日までの間にある子または20歳未満の障害等級1級・2級の障害状態にある子で、いずれも婚姻していない子を指します)がいなければ、遺族基礎年金を受給することができません。

このときに、亡くなった夫が老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていれば、その妻は、寡婦年金を受給することができますが、受給資格期間を満たしていなければ、寡婦年金を受給することができません。

それでは、亡くなった夫がコツコツと納めてきた国民年金保険料が掛け捨てになってしまいます。

その防止策のひとつとして、一定の範囲の遺族に支給される死亡一時金という制度が設けられています。今回は、死亡一時金について説明します。

死亡一時金をもらえる要件

死亡一時金は、下記の要件に該当するときに、下記の遺族が受給することができます。

⑴亡くなった人が、国民年金の第1号被保険者として、保険料を納めた期間が3年(36月)以上あること

※この期間を計算する際には、保険料4分の1免除期間は4分の3、保険料半額免除期間は2分の1、保険料4分の3免除期間は4分の1に相当する月数に数字を置き換え、保険料納付済期間に加えて、合計の期間を計算することになります(全額免除期間は含めません)。

⑵亡くなった人が、老齢基礎年金、障害基礎年金のいずれも受給していないこと

⑶遺族は、亡くなった人と同居するなど生計を同じくし、年収が850万円未満(または所得が655万5000円未満)で、亡くなった人に生計を維持されていた配偶者(内縁関係を含みます)、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹であること(この優先順位で支給されます)

⑷遺族が、遺族基礎年金を受給することができないこと

受給のおける注意点

死亡一時金は、年金ではなく、あくまでも一時金ですので、受け取りも1回限りで終了します。

先順位の遺族が死亡一時金をもらえば、後順位の遺族は受給することができません。同順位の遺族が2人以上いる場合は、そのうちの1人が請求をし、その1人に死亡一時金を支給することにより、全員に支払われたことになります。

死亡一時金と寡婦年金の両方の受給資格がある場合は、どちらか一方を選ぶことになります。死亡一時金を請求すると、後で寡婦年金を受給することができなくなります。

死亡一時金の額

死亡一時金の額は、保険料を納めた期間によって、それに応じた金額が受給できます。

保険料納付済期間ごとの区分

死亡一時金の額

3年以上15年未満

12万円

15年以上20年未満

14万5000円

20年以上25年未満

17万円

25年以上30年未満

22万円

30年以上35年未満

27万円

35年以上

32万円

※付加保険料の納付済期間が3年以上ある場合には、死亡一時金に一律8500円が加算されます。

ポイント!
死亡一時金は、保険料納付済期間に応じて定額で支給されます。

死亡一時金を請求する方法

死亡一時金を受給するためには、請求手続きが必要です。

死亡一時金を請求する場合は、受給するための書類一式を準備したうえで請求を行います。

死亡一時金に関する「国民年金死亡一時金請求書」の提出先は、住所地の市区町村役場の窓口になります。また、年金事務所および年金相談センターでも手続きができます。

死亡一時金の請求に必要な書類

死亡一時金を請求するときは、下表の書類を準備します。

国民年金死亡一時金請求書

様式およびその記入例は、日本年金機構ホームページからダウンロードすることができます

年金手帳

亡くなった人のもの

戸籍謄本(記載事項証明書)

亡くなった人と請求者の関係

受給権発生年月日以降で6か月以内に交付されたもの

世帯全員の住民票の写し

亡くなった人との生計維持関係確認のため

亡くなった人の住民票の除票

亡くなった人との生計維持関係確認のため

世帯全員の住民票の写しに含まれている場合は不要

預金通帳等

請求者名義のもので、預金通帳またはキャッシュカード(写しも可)等

印鑑

認印可

※国民年金死亡一時金請求書は、住所地の市区町村役場または年金事務所、年金相談センターにあります。

年金手帳を提出できないときは、その理由が必要です。

まとめ

以上が、死亡一時金についての概要と必要な書類です。

死亡一時金を請求する場合は、事前に、必要書類等も含めて、市・区役所または町村役場の国民年金の窓口、あるいは、年金事務所または年金相談センターで相談するようにしましょう。

なお、死亡一時金請求のために提出した住民票等を年金請求以外で利用する場合は、それらの原本を返してもらうことができます。