遺産分割調停申立書の提出までの流れ

2020-01-06

本記事では遺産分割調停申立書を提出するまでの流れについてまとめています。

故人が残された遺産は、相続人の方の話し合い(遺産分割協議)で分けるのが基本ですが、相続人の方の間では話し合いがまとまらないということも十分にあり得ます。

この場合には、裁判所を利用して調停(話し合い)を求めることができますが、裁判所への調停を申し立てるには、遺産分割調停申立書を提出するなど一定の手続きが必要となります。

本記事で、遺産分割調停申立書を提出するまでの流れやポイントを押さえておきましょう。

遺産分割調停の管轄裁判所は?

まず、遺産分割の調停を裁判所に申し立てる際の管轄裁判所は、話し合いたい相手の住所地の家庭裁判所です。例えば、AさんがBさんを相手として遺産分割の調停を申し立てる場合、Bさんの住所地の家庭裁判所に調停を申し立てることとなります。Aさんの住所地の家庭裁判所で調停の申し立てをすることは基本的に出来ません。

例外的にBさんが「Aさんの住所地の家庭裁判所で調停をしてもかまわない」と応じてくれればAさんの住所地の家庭裁判所でも調停をすることができますが(合意管轄)、調停を申し立てる際の管轄は、基本的には相手方の住所地を管轄する家庭裁判所となります。

そのため、相手が遠方に住まわれている場合には交通費や時間などについても考慮することが第一に必要となります。

遺産分割調停申立書作成から提出まで

遺産分割調停申立書を作成する

まず、遺産分割調停申立書を裁判所のHPからダウンロードして作成をします。裁判所のホームページに、遺産分割調停申立書の記載例もありますので、申立書の作成自体は比較的容易にすることができます。

なお、遺産分割調停申立書は裁判所提出書類ですから、作成を専門家に依頼する場合、依頼できる専門家は弁護士か司法書士に限ります。行政書士等の作成は違法となりますので、注意が必要です。

添付書類を集める

遺産分割調停申立書を作成される際にポイントになる点として、添付書類の収集があります。遺産分割調停申立書には添付書類欄のチェック欄がありますが、この添付書類を実際に集めて申し立てをする必要があります。

具体的には、戸籍や固定資産税の評価証明書、銀行の残高証明書、不動産の登記事項証明書(いわゆる登記簿)などをケースバイケースで集めなければならず、市役所や銀行、法務局などを「役所回り」することとなります。

添付書類をそろえて遺産目録(遺産の一覧表)を作成しなければ、調停の際にどのような財産をどういった方法で分けるかの話し合いが出来ないため、添付書類の収集は非常に重要なポイントとなります。

事情説明書と照会回答書

次に、遺産分割調停を円滑に進めるために「事情説明書」と「進行に関する照会回答書」という書類を提出することがあります。

遺産分割調停をするという事は、それまでの話し合いで折り合いがついていない部分があるという事です。そこで、どういった点で折り合いがつかないのか、また、どういった要望があるのかをまとめたものが「事情説明書」です。

また、遺産分割調停申立書を提出すると、申立書に書かれた「相手方」(ほかの相続人)に裁判所から通知が届きます。その際、裁判所での話し合いを望んでいない方やご高齢などで裁判所に来られない方がいないかなどを答えるアンケートが「進行に関する照会回答書」です。これらの書類を提出することで遺産分割調停がスムーズになります。

相続税の申告手続きは別に進めておく

遺産分割調停を申し立てても、調停が終わるまで1年程度はかかってしまうのが一般的です。特に相続人の方が多い場合、調停は長期化します。

ところで、相続税の申告期限は故人がお亡くなりになったことを知った日の翌日から10か月です。

そのため、遺産分割調停が終わっていないけれど、相続税の申告期限が到来してしまうという事は十分にあり得ます。遺産分割調停と納税は全く別の手続きですから、遺産分割調停中であることを理由に相続税の申告期限を待ってもらうことは出来ません。

そのため、遺産分割調停をしていても、相続税の申告は別にしておく必要があります。相続税は、遺産分割調停終了後でも申告期限から3年以内ならば修正申告が可能です。

まとめ

遺産分割調停申立書の作成自体は、決して難しいものではありません。しかし、円滑に遺産分割調停を進めるためには、添付書類を集めたり、事情説明書を作成したりするなど、様々な手続きを並行して進めることが必要となります。必要に応じて弁護士、司法書士、税理士等の専門家と相談をすることがスムーズな調停進行のポイントとなります。