
3分で把握できる!故人の所得税の準確定申告
2019-11-11
人はいずれ亡くなるものです。いずれは両親などの遺産を相続する場合も出てくるかもしれません。
「相続をしたら、場合によっては所得税を代わりに申告する必要があるようだけれど、具体的に何をどうすればよいのか分からない…」
そんな方に向けて、今回は被相続人の代わりに行う準確定申告について、内容をまとめました。
準確定申告とは
確定申告すべき人間(被相続人)が死亡してしまった場合に、代理で相続人が行う確定申告及び納税が「準確定申告」と呼ばれるものです。
通常であれば、本人が1月1日から12月31日までの所得税を翌年2月16日から3月15日までの間に申告・納税することになりますが、相続が発生した場合は相続人がこの対応を行うことになります。
準確定申告で申告・納税が必要となるのは1月1日から被相続人が亡くなった当日までの所得となるのが原則です。
例外として、以下の2つの要件を満たす場合には、前年の分も含めて準確定申告が必要となるため、注意してください。
・3月15日までに確定申告をしないまま被相続人が亡くなっている
・亡くなる前の年の確定申告もされていない
ここからは準確定申告が必要となる場合とそうでない場合について、それぞれ解説してきます。
準確定申告が不要となる場合
具体的には以下の条件のいずれかに該当する場合は対応不要です。
・被相続人が会社員やパートなどの給与所得者
・被相続人が年金を受給しており、その額が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下
・相続が発生しない(相続人による相続の放棄)
など
ただし、準確定申告が不要となる場合でも、医療費が高額になった場合は控除により還付金を受けられる可能性も。必要に応じて還付申告をしましょう。
準確定申告が必要となる場合
準確定申告が必要となるのは、生前に以下のいずれかを満たしていた場合です。
・給与所得以外に20万円以上の収入がある
・事業所得や不動産所得がある
・2000万円を超える給与収入がある
・複数の事業所からの給与収入がある
・公的年金などによる収入が400万円を超える
・公的年金の所得(雑所得は除く)が20万円を超える
・保険の満期金や一時金を受け取っている
など
以下の場合には、税金の一部が還付される場合があります。申告を忘れずに行いましょう。
・多額の医療費の支払いがある
・生命保険などの各種控除を受ける
・収入が給与もしくは年金のみで源泉徴収を受けている
準確定申告に必要な書類
以下の書類が必要とされていますが、個々人で異なる場合があるため、最寄りの税務署で確認することをおすすめします。
書類は税務署で配布されているほか、国税庁のホームページからダウンロードすることも可能です。
用意した資料は、被相続人が住んでいる地域を管轄する税務署に提出することになります。(相続人の住んでいる地域の税務署ではないため、注意してください)
・準確定申告書
・給与や年金の源泉徴収票
・同付表(各相続人の氏名や各相続人の納付又は還付税額が記載されている)
・生命保険・損害保険の控除証明書
・医療費控除のための領収書
・その他通常の確定申告と同様に必要となる添付書類
申告を行う期限
通常の確定申告であれば、翌年2月16日から3月15日までの間に申告することになっています。
ところが、準確定申告の場合は相続の開始があったことを知った日(被相続人に死亡を知った日)の翌日から4ヶ月以内に行なうように定められています。
4ヶ月という短期間で申告・納税まで行うことになりますが、この申告が漏れてしまうと加算税などの追徴課税が課される可能性が生じるためご注意ください。
なお、還付金の申告については請求権の時効(5年間)を過ぎてしまわない限りは、4ヶ月を超えても受付けてもらえます。
まとめ
相続が生じると相続税の手続きや親族との調整などで忙しくなります。
とは言え、被相続人の確定申告についても注意を払っておかないと、思わぬ税金が払う羽目になるかもしれません。
そうならないためにも、この記事を参考にして準確定申告の必要性の有無や用意すべき書類などについて、今のうちから確認してみてはいかがでしょうか。