
相続でもめる原因5選
2020-02-01
相続のトラブルは自分たちには関係ないと思っている方は多いですが、遺産が少なくても相続でもめるケースはたくさんあります。
この記事では、相続でもめる原因としてよくあるものを5つご紹介し、対処法も解説します。思い当たる点がある方は、早めに対処しておくことをおすすめします。
もめる原因①:相続財産がどれだけあるか不明
相続財産がどれだけあるかが明確でないと、相続でもめる原因になりやすいです。
被相続人と同居していた相続人が遺産を使い込んだり、隠したりしているのではないかと他の相続人が疑心暗鬼になることもあります。遺産が思ったよりも少なかったときに、このようなことが起こりがちです。
このような場合は、早いうちに遺産目録を作成して相続人全員で共有することです。できれば、被相続人の生前に財産目録を作っておいてもらいましょう。
被相続人のお金を使うときは、使い途を正確に記録し、領収証を保管しておくことです。なお、預貯金を相続人が単独で引き出すことは、銀行実務においてはできませんでしたが、改正民法第909条の2により一定額は引き出すことができるようになりました。
もめる原因②:不動産が相続財産の中心を占めている
不動産は現金や預貯金と異なり、分割するのが容易ではありません。遺産が自宅の土地家屋とわずかな預貯金のみという場合に相続でもめやすくなります。
もともと自宅に住んでいた長男が相続するとしても、その代わりに代償金を支払わなければ、他の相続人は納得しないでしょう。
不動産の相続については、被相続人の生前から十分に話し合っておくことです。被相続人に遺言書を作成してもらうのも有効ですが、遺留分を主張されると結局は代償金でもめるおそれがあります。
どうしても争いが避けられない場合は、自宅を売却して代金を分けるのも1つの解決法です。
なお、改正民法1028条以下に新たに配偶者居住権という制度が2020年4月1日に施行されます。配偶者が被相続人と同居していて、居住建物にそのまま住み続けるときには有効な制度となっています。
もめる原因③:生前贈与を受けた相続人がいる
特定の相続人のみが被相続人の生前に財産の贈与を受けている場合は、相続が不公平になりがちです。
生前贈与された財産は特別受益として遺産に含めて計算できる制度もありますが、それでもその財産の評価額をめぐってもめることがあります。
生前贈与が原因でもめることを避けるためには、贈与契約書を作成するなどして贈与の内容を明確にしておくことが大切です。
もめる原因④:「同居」と「別居」で意見が合わない
被相続人と同居していた相続人は、被相続人の介護などで苦労してきたことを理由に、多めに遺産を相続したいと考える人も多いです。これが寄与分として評価される場合があります(民法904条の2、改正民法1050条)。
一方、別居の相続人は、被相続人から生活費などを出してもらった分、遺産の取り分は少なくすべきだと考えていることが多いものです。
このような対立を避けるためには、お互いの立場を理解して話し合うことが必要です。被相続人の生前からお互いの生活状況を把握しておくことも大切です。
もめる原因⑤:長男が単独相続を主張する
長男が全ての遺産を受け継ぐのが当然だと考えている人は、今でも少なくありません。一方で、長男以外の立場の人の多くは、平等に遺産を分けるべきだと考えているものです。
話し合いでは解決できないほど価値観が違っていることもあるでしょう。このような場合は、被相続人の生前に遺言書で遺産分割について指定しておいてもらうのがベストです。
遺言書がない場合は、お互いの立場を理解しつつ根気よく話し合うことが必要です。
まとめ
相続でもめないためには被相続人の生前から親族間の交流を保っておくことが大切ですが、それでもトラブルが発生することもあります。
どうしても解決できない場合は、感情的な対立が深刻になる前に弁護士に相談するのもおすすめです。